137.指導標識【警笛鳴らせ SOUNDHORN】

Dsc_8811_1024

所在 長野県上水内郡小川村
標識コード 406〈警笛鳴らせ〉
撮影 令和4/2022年10月
位置 36.632349, 137.966296
備考

125.【警笛鳴らせ SOUNDHORN】(宮城県仙台市)に続いて、白看ブリグ3本目の406〈警笛鳴らせ〉。
白看ではないが、非常に貴重な旧型標識のひとつである。
全国的にも数が少なく、現存しているものは全て貴重なものであり、できることなら1本でも多く記録に残したいと思っている。

Dsc_8803_1024

場所は小川村役場から北上した山あいの長閑な集落内。
今の様子から見ると、見通しも悪くなく、特段危険な様子は見られないため、なぜここで警笛を鳴らさなければならないのか、現状からは推し量ることは難しい。
すぐ傍には村立小川北小学校跡があり、小学校の傍でプッププップ警笛を鳴らされたら喧しいだけのような気もする。
しかし何事も現在の感覚で過去を想像しては間違いのもとである。
きっと当時は道路拡幅の前であり見通しが悪かった、木々が鬱蒼と茂っており見通しが悪かった、人口も多く車の往来がずっと激しかった、など何か理由があったはずである。

標識の状態自体は過去の2本に比べると非常にクリーンである。
琺瑯製であることから色がきれいに残っているだけでなく、この種の旧型標識に多く見られる弾痕状の塗装の欠けとそこから発生する錆びも非常に少ない。

Dsc_8814_1024

支柱は味わいの深い木製。
この406〈警笛鳴らせ〉は昭和25年に制定され、昭和35年の省令改正まで用いられたもので、白看に比べると比較的設置年代が古い。
しかし木製の支柱の旧型標識はこれまで見てきたなかでもその数は多くはなく、山形県の002.【危險 DANGER】(山形県南陽市)063.【宮内/中川駅】103B、それに福島県の089.【石川/白河/郡山】103A、長野県の067.【長野/柏原】103Bくらいと数えるほどしかなく、しかもどれも味わいにおいては一級品である。これらがすべて撤去されてしまっている現在、木製支柱を持つこの標識はその点においても貴重と言える。

さて、裏面をよく見ると、右下にあのマークが。

Dsc_8819_1024

また出た!「KANTO-ENAMEL TOKYO」のロゴマーク。
前回の125.【警笛鳴らせ SOUNDHORN】(宮城県仙台市)も同社製だった。ということは、両者は同じであるはず。
並べて比べてみよう。

Dsc_8809_1024 Dsc_7300_1024_20230311095001

左が今回長野県小川村のもの 、右が宮城県仙台市のものである。
あれれ、結構違う。
間違い探しのようになるが、「警笛鳴らせ」の文字が仙台市のものの方が細く繊細であること、真ん中の図案のホーンの大きさが#2の方が小さく、ビビビーと出ているギザギザの数もも少ない。
(実はそもそものサイズが違っており、宮城県のものの方が小さいため、図案の違いが生じたものと思われる)

そう、これこそが魅力。
今であればコンピュータで図案化し、どんなに大量に作製しても寸分狂わず同じものが作れるはずだし、そうしないと品質管理の面でもクレームがつくかもしれない。
しかし当時はおそらく職人が1本1本手書きで作成していたはずであり、その個体差こそが今の標識にはほとんど見られなくなった、白看をはじめとする旧型標識の大きな魅力なのである。

Dsc_8815_1024

近くの酒屋さんは廃業して久しい様子。
静かな晩秋の山里に、僕は趣深い標識を見ることができた。

| | コメント (2)

132.案内標識【白河/長沼】

Dsc_9048_1024

所在  福島県岩瀬郡鏡石町
標識コード 103B〈方面・方向および距離〉
撮影 令和4/2022年12月
位置 37.254538, 140.346131
備考 中心から半分に割れている。辛うじて現存。

しばしば参考にさせて頂いている@zaicchan様による白看マップによると、福島県にある東北本線鏡石駅付近には「白河/長沼」の103Bがあり、それは「2つに割れている」らしい。
管見の限りではネット上でもその全体像を見ることはできず、半分しか現存していないのかどうかもはっきりしない。
もし半分だけであれば興味も半分、といったところだが、今回近くに行く機会を得たため、実際に見に行ってみることにした。
結論を先に書けば、上掲の画像のとおり全体が現存していた。

Dsc_9060_1024_20221215204001

白看を見るとき、それは道路標識であるのだから、通常視線は上へ向かう。
しかしここの場合、視線はずっと下げなければならない。
「月極駐車場/花キューピット 花かがみ」の看板の足元、ブロックの後ろにご注目いただきたい。

Dsc_9056_1024_20221215204001

こちらを見つめる「白」の文字がご覧いただけるだろうか。

Dsc_9038_1024_20221215204001

最初はもう既に撤去され、無くなっていたかと思ったが、このようにしてこの白看は残っていた。
なんと気の毒な姿だろう。
半分の姿になり、捨て去られるでもなくその姿を晒している。
残りの半分はあるのか?

Dsc_9052_1024

あったあった、よしよしと慈しみながら元の姿に繋げてみる。
繋げた姿を見下ろすと、白看に助けを求められているように見えてきて、なんともいじらしく、愛おしくなってしまった。
経験はないけれど、捨て猫を見つけた時のような気分だ。
よしよし、僕が持ち帰って暖かい部屋で大事に保管してあげよう、と言いたいところだが、持ち帰るわけにはいかない。

Dsc_9045_1024_20221215204001

その代わり、これまで誰にも顧みられることのなかったこの白看を、ゆっくりよく観察してあげる。
まず、本体が琺瑯製であること、103Bタイプでありながら(吊り下げ式ではなく)サイズが小さい支柱式であることから、かなり古いものであることが窺われる。
103Bタイプというと、吊り下げ型の大掛かりなものをイメージしやすいが、初期の白看はむしろ支柱式が一般的だったのではないだろうか。
支柱式の103Bで似ているものとして思いつくのは、020.【鬼無里】103B067.【長野/柏原】103B063.【宮内/中川駅】103Bなどがある。
特に063.【宮内/中川駅】103Bとは文字の雰囲気もそっくりである。

Dsc_9047_1024_20221215204001

さらによく観察すれば、そこにはあの「KANTO-ENAMEL TOKYO」の文字。
そういえば、同じ「KANTO-ENAMEL TOKYO」 製の089.【石川/白河/郡山】103Aとも雰囲気は共通している。
このことからも、この白看は相当古い年代の貴重なものであることが裏付けられる。

哀れな姿になった白看であるが、今回僕はとても貴重なものを見ることができた。
貴重なものを目の当たりにし、感動している僕だが、なにも知らない信号待ちのドライバーの目には、道端にしゃがみこんで、カメラを構え、何やらごみのような看板を繋ぎ合わせてみたり裏返してみたりしている僕の姿は、さぞかし奇異に映ったに違いない。

なんとかこの貴重な白看の温もりを持ち帰ることはできないかと思案したが、相手は冷たい看板にすぎず、そのようなことができるはずもない。
名残惜しく、後ろ髪を引かれる思いではあるが、原状に復してその場を立ち去った。

| | コメント (0)

125.指導標識【警笛鳴らせ SOUNDHORN】

Dsc_7300_1024

所在 宮城県仙台市青葉区
標識コード 406〈警笛鳴らせ〉
撮影 令和3/2021年8月
位置 38.285793, 140.689626
備考

015.【警笛鳴らせ SOUNDHORN】(山梨県笛吹市)に続いて、白看ブリグにおいて16年ぶり2本目の406〈警笛鳴らせ〉。
非常に貴重な旧型標識のひとつである。
白看や旧型標識が淘汰されつつある現在において、現存する貴重なそれらを記録、保存することは喫緊の課題であると、ごく私的な使命感にかられた僕は、昨年夏、貴重な夏休みの一日を使って、ひとり東北南部の旧型標識収集ドライブに出かけた。

Dsc_7306_1024_20221123194101

場所は仙台市青葉区。
国道457号線と国道48号線が交わるところで、線形改良のために付け替えられた旧道の名残の部分にこれは立っている。
旧道は現道からは切り離され、接続していない。
そのため、この部分は行き止まりとなっており、一般の交通には供されていない状態であり、極めて私道感が強い。
時期的に新型コロナの影響により、他県への往来を控えるよう呼びかけられていたこともあり、ここに侵入するのは敷居が高い。

Dsc_7304_1024

こっそり車を止め、悪いことでもするかのようにコソコソと標識に忍び寄る。
辺りには住民の自家用車が停めてあり、標識の足元にも庭先にあるような植木鉢やプランターが置いてある。
住民の方からすれば、自分ちの庭先に余計な古い道路標識がいつまでも立っていて、邪魔だわ、といった感じかもしれない。
屋外の誰もいないようなところでマスクをつけるのは無意味だと自覚しつつも、世間の目を気にしてこの時はつけている。
マスクをつけた男が、古い標識の写真をバシャバシャとっているのだから、不審なことこの上ない。

Dsc_7295_1024

裏にも回り、写真を撮る。
表面を撮るのであれば、百歩譲って意味がありそうに見える。
それが裏に回って撮っているのでは、客観的にみれば標識ではない何か、例えば他所の民家とか、好ましくない他の物を撮っているようにも見える。
なにも悪いことをしているわけではないのに、盗撮でもしているようにコソコソ、そそくさと撮影を進める。

標識自体の状態は、015.【警笛鳴らせ SOUNDHORN】(山梨県笛吹市)に比べれば良いものの、このタイプの旧型標識に特徴的な弾痕状の錆が両面に見られる。
しかし、琺瑯製の強みで、褪色は見られず文字もはっきりとしている。

Dsc_7297_1024

出た!「KANTO-ENAMEL TOKYO」
ある年代の琺瑯製の旧型標識に、これまでも何度か登場したロゴだ。
パッと思い出せるのは、089.【石川/白河/郡山】103Aだが、他にも何本かあったように思える。
今度、「KANTO-ENAMEL-TOKYO」製の標識をまとめてご紹介したいと思う。

案内標識(白看)に比べて、フォントや仕様が安定していると思われる指導標識や警戒標識であるが、並べて子細に観察すれば、そこに何か違いもあるはずだ。
今後も可能な限り、比較できるだけの数を集めていきたいところである。

| | コメント (0)

089.案内標識【石川/白河/郡山】

L1060731_1024_20230610110901

所在 福島県須賀川市
標識コード 103A〈方面・方向及び距離〉
撮影 平成20/2008年2月
位置 37.286727, 140.375074
備考 現存せず

あまりにも久しぶりの更新で、溜まった写真から適当にアップしようと思って撮影日付を見れば、もう10年以上も前のもの。
令和の時代となって初の更新となる記念の1本は、貴重な103A〈方面・方向及び距離〉。

L1060713_1024

撮影時、そばの建物が外壁工事中で足場が設置され、非常に撮影しづらかったことを覚えている。
それでも貴重な市街地の103Aを何とか記録しようと、壁にはいつくばるようにして撮影した。

L1060725_1024

そういうわけなので、分かりにくいと思うが電柱の陰、速度規制標識の後ろに隠れているのがそれである。
支柱は何と木製。

L1060722_1024

103Aというと、比較的幹線道路に多くみられる印象で、さらには吊り下げ式がほとんどだと思う。
しかし、この標識は路地裏のような市道に設置され、さらには木製支柱により立っている。
交差する道路は旧国道4号と推定され、ここに案内標識が建っていてもおかしくはないが、雰囲気からして相当古い時代に設置されたものとみられる。
可能性としては昭和30年代にまで遡るだろう。

L1060727_1024

裏面は平らで補強等は無いタイプ。
木製支柱でこのようなタイプといえば、067.【長野/柏原】103Bがほぼ同じタイプと思えるが、それも相当に古そうなものだった。
このタイプは大抵真ん中の支柱部分を境に折れた痕が見られる。

L1060728_1024

裏面の拡大画像。「KANTO-ENAMEL」と読める。これと同じ表記をどこかの白看で見たような記憶があるが、今は思い出せない。
この貴重な木製支柱+103Aの白看を、きれいに全体を写真に収められなかったことがとても悔やまれるため、できることならもう一度見てみたい。
しかし、現在この場所はすっかり整備され、風景もだいぶ変わってしまったようである。

ここに白看があったことなど、今ではもう誰も知らない。

続きを読む "089.案内標識【石川/白河/郡山】"

| | コメント (0)